陶芸家 父は窯元を一軒一軒訪ねて回るものの、軒先に並ぶ品にはあまり関心を示さずロクロ場の棚の奥の埃をかぶった水差しや土間の片隅にころがる泥にまみれた小壺ばかりを見定めては、これを分けてもらえませんか?とねだったりしている。 へんだなぁ、もっときれいなものいっぱいあるのになぁ……。 この時のナゾが僕を陶器作りへと向かわせた気がしないでもない。 —「佇まい」より抜粋
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